サウジアラビアの政府系ファンドが、新しい自転車ロードレースリーグ発足に動いていることが明らかになった。また約400億円の用意があると言われる新リーグについて、ヴィスマ・リースアバイクがその存在を認めた。



今年1月にサウジアラビアで開催されたアルウラー・ツアー photo:CorVos

サウジアラビアの政府系ファンドであるパブリック・インベストメント・ファンド(以下PIF)が、所有するSRJスポーツ・インベストメンツ社を通して新たな自転車ロードレースリーグを発足させる間近だとロイター通信が伝えた。

そのためにPIF子会社であるSRJの投資額として報じられたのは2億5000万ユーロ(約400億円)。PIFによるこの動きはサウジアラビアが目指す経済多角化計画「ビジョン2030」の一つで、同社はここ数年サウジアラビアのサッカーチームを複数買収し、またゴルフのPGAツアーをLIVゴルフと合併させるなど多額の資金をスポーツ事業に費やしている。

「ワン・サイクリングプロジェクト」とも呼ばれているこの新リーグ構想。具体的なことは不確定ではあるものの、年間で100レース程度を走り、F1のように各ラウンド(ステージレース)で争うことによって有力選手の対戦機会を増やすことを狙っている。

既にヴィスマ・リースアバイクやイネオス・グレナディアーズ、スーダル・クイックステップ、リドル・トレック、EFエデュケーション・イージーポスト、ボーラ・ハンスグローエの6のワールドチームが前向きに検討していると言われている。なかでもヴィスマ・リースアバイクはロイターの取材に答え「(新リーグという)アイディアは検討されている」とその存在を認め、「しかし自転車競技を持続可能なビジネスモデルにするべく、様々なアイディアも検討されている」と話している。

なお、今回の新リーグ構想にはツール・ド・フランスの主催者A.S.O.(アモリー・スポルト・オルガニザシオン)やジロ・デ・イタリアを主催するRCSスポルトは含まれていない。しかし一部報道によるとロンド・ファン・フラーンデレンなどベルギーのクラシックレースを運営するフランダースクラシックスは、この新リーグと関わっていく可能性が高いようだ。

text:Sotaro.Arakawa
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