ポルトガルを舞台にした5日間のステージレースが開幕。エヴェネプールとファンアールトが揃い踏みの大会初日は集団スプリントで決着し、圧巻のリードアウトからヘルベン・テイッセン(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ)が勝利した。



エヴェネプールとファンアールトが揃ったヴォルタ・アン・アルガルヴェ photo:CorVos

スペイン南部のアンダルシア地方を舞台としたブエルタ・ア・アンダルシア(初日はレース中止)と時を同じく、ポルトガル南部のアルガルヴェ地方でヴォルタ・アン・アルガルヴェ(UCI2.Pro)が開幕。2月14日から全5日間のステージレースは2つのスプリントステージや本格山頂フィニッシュが用意され、また22kmの個人タイムトライアル、そして最終日は短い急坂フィニッシュとバランス良いステージ構成が魅力の大会だ。

その初日はコース中盤にある2つの3級山岳を越え、約40kmの平坦路がフィニッシュまで続くレイアウト。そのスタート地点であるポルティマンには前哨戦のフィゲイラ・チャンピオンズ・クラシックで50kmの独走勝利を飾ったレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)を始め、昨年のブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝者のセップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)がワウト・ファンアールト(ベルギー)と共に出場。

またイネオス・グレナディアーズはトーマス・ピドコック(イギリス)とフィリッポ・ガンナ(イタリア)と豪華メンバーを揃えた。

7名の逃げを、アンテルマルシェ・ワンティが牽引するプロトンが追いかける photo:CorVos

曇り空の中スタートしたレースは僅か10kmで7名が逃げを打ち、それをアルノー・デマール(フランス)擁するアルケアB&Bホテルズやアンテルマルシェ・ワンティが牽引するメイン集団が追走する。フィニッシュ地点が近づくにつれプロトンとの距離も縮まっていく逃げからは、残り51km地点でトビアス・バイヤー(オーストリア、アルペシン・ドゥクーニンク)がアタック。単独で先頭に立った。

2020年と21年にオーストリアのタイムトライアル選手権で2連覇したバイヤーは得意のエアロポジションでフィニッシュを目指し、追いかけるプロトンでは残り27km地点で大規模落車が発生する。その中には今季初戦のティシュ・ベノート(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)も巻き込まれたものの、リタイア者はおらず、残り21km地点でバイヤーは引き戻された。

逃げ集団から飛び出し、単独先頭に立ったトビアス・バイヤー(オーストリア、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos

途中、ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)の体調不良によって急遽総合エースを任されたイサーク・デルトロ(メキシコ)がこの日2度目のパンクに見舞われるシーンもありながら、デルトロが復帰した集団はスプリントに突入した。

スプリント開始のタイミングが早すぎたルイ・オリヴェイラ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)が失速するなか、完璧なリードアウトを組んだアンテルマルシェ・ワンティのトレインからヘルベン・テイッセン(ベルギー)が発射。猛追するマライン・ファンデンベルフ(オランダ、EFエデュケーション・イージーポスト)に並ぶことすら許さず、テイッセンが勝利した。

絶好のリードアウトから今季2勝目を飾ったヘルベン・テイッセン(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ) photo:CorVos

1月のトロフェオ・パルマに続き、今シーズン2勝目を飾ったテイッセン。「良い滑り出しのできなかった昨年から一転、これで2勝目だ!このレベルのレースで勝てたことが信じられず、この冬に取り組んだ厳しいトレーニングが実を結んだ」とテイッセンは語った。

翌日は登坂距離7.5kmのフォーイア山を駆け上がる登りフィニッシュ。大会2日目にして総合争いが始まる。
ヴォルタ・アン・アルガルヴェ2024第1ステージ結果
1位 ヘルベン・テイッセン(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ) 4:52:04
2位 マライン・ファンデンベルフ(オランダ、EFエデュケーション・イージーポスト)
3位 ヨルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ)
4位 ラルス・ボーフェン(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)
5位 アルノー・デマール(フランス、アルケアB&Bホテルズ)
個人総合成績
1位 ヘルベン・テイッセン(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ) 4:52:04
2位 マライン・ファンデンベルフ(オランダ、EFエデュケーション・イージーポスト) +0:04
3位 トビアス・バイヤー(オーストリア、アルペシン・ドゥクーニンク)
4位 ヨルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ) +0:06
5位 トマス・コンテ(アルゼンチン、アビルド・ルーレターノ・ローレ・コンセーリョ) +0:08
その他の特別賞
ポイント賞 ヘルベン・テイッセン(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ)
山岳賞 トマス・コンテ(アルゼンチン、アビルド・ルーレターノ・ローレ・コンセーリョ)
ヤングライダー賞 マグナス・シェフィールド(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ)
チーム総合成績 イネオス・グレナディアーズ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos