女子バレンシアナ3日目は勾配22%の超級山岳が登場したクイーンステージ。登りと下りで2度仕掛けたニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、SDワークス・プロタイム)が独走勝利し、チームメイトのマーレン・ロイサー(スイス)が総合首位をキープした。



3日目を迎えた第8回ボルタ・フェメニナ・デ・ラ・コムニタ・バレンシアナ photo:CorVos

年間を通して温暖な気候のスペイン南部バレンシアを巡るボルタ・フェメニナ・デ・ラ・コムニタ・バレンシアナ(UCI2.Pro)。その3日目はアップダウンの連続する129kmが舞台で、3級、1級、3級山岳を越え、最後は登坂距離3.9km/平均11.2%の超級山岳ショレト・デ・カティが登場。フィニッシュは下った先にある今大会のクイーンステージ(最難関ステージ)で争われた。

ベテランクライマーであるアマンダ・スプラット(オーストラリア、リドル・トレック)が乗った逃げグループは8名。SDワークス・プロタイムやFDJスエズも選手を入れた一方で、メイン集団は選手を送れなかったDSMフィルメニッヒ・ポストNLが2分差以上を許さないペースコントロールを見せた。

DSMフィルメニッヒ・ポストNLが終始プロトンを先導した photo:CorVos

最初の3つのカテゴリー山岳をトップ通過し、山岳賞トップに立ったのはフェニックス・ドゥクーニンクの下部チームに所属するオリハ・クリニチ(ウクライナ、フェニックス・ドゥクーニンク)。その後も順調にローテーションを回した逃げ集団だったが、最終山岳ショレト・デ・カティを前に吸収。そして総合リーダージャージを着るマーレン・ロイサー(スイス、SDワークス・プロタイム)が自ら集団先頭でペースを刻むなか、カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)の加速から登坂バトルが幕開けた。

最終山岳に入り、フィッシャーブラックのために集団先頭でペースを作ったマーレン・ロイサー(スイス、SDワークス・プロタイム) photo:CorVos

ニエウィアドマのハイペースに後続が次々と遅れていくなか、一定のペースで踏み続けるロイサーを尻目にフィッシャーブラックが22%の勾配区間でアタック。すぐさまニエウィアドマやロイサーを置き去りにしたフィッシャーブラックに、唯一ガイア・レアリーニ(イタリア、リドル・トレック)が食らいつく。フィッシャーブラックとレアリーニは頂上を越え、フィニッシュまで続く下り区間に突入した。

登りではほぼ互角に渡り合った2人だが、下りのテクニックで分があったフィッシャーブラックがレアリーニを引き離す。そして歓喜の涙を流したフィッシャーブラックが、第3ステージの勝者に輝いた。

独走勝利を飾ったニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、SDワークス・プロタイム) photo:CorVos

「冬のトレーニングの成果が出た。今シーズンへのモチベーションは高く、良い滑り出しとなった。昨日はマーレン(ロイサー)のアシストに徹したためオフのようなステージだった。だけど今日はスタート直後から調子の良さを感じていた」と、23歳のフィッシャーブラックは喜んだ。

ちなみにUAEチームエミレーツに所属するフィン・フィッシャーブラックは弟。そのフィンもマスカット・クラシックで独走勝利し、続くツアー・オブ・オマーンでも区間1勝と姉弟共に良いシーズン序盤となっている。

2位には13秒遅れでレアリーニがフィニッシュし、50秒遅れの5位でレースを終えたロイサーは大会最終日を前に総合首位キープに成功した。
ボルタ・フェメニナ・デ・ラ・コムニタ・バレンシアナ2024第3ステージ結果
1位 ニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、SDワークス・プロタイム) 3:50:04
2位 ガイア・レアリーニ(イタリア、リドル・トレック) +0:13
3位 カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム) +0:23
4位 ジュリエット・ラブース(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) +0:41
5位 マーレン・ロイサー(スイス、SDワークス・プロタイム) +0:50
個人総合成績
1位 マーレン・ロイサー(スイス、SDワークス・プロタイム) 9:46:48
2位 カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム) +0:08
3位 ニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、SDワークス・プロタイム) +0:12
4位 ジュリエット・ラブース(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) +0:30
5位 ガイア・レアリーニ(イタリア、リドル・トレック) +0:37
その他の特別賞
山岳賞 オリハ・クリニチ(ウクライナ、フェニックス・ドゥクーニンク)
ヤングライダー賞 シリン・ファンアンローイ(オランダ、リドル・トレック)
チーム総合成績 キャニオン・スラム
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos