ベルギーのフランドル地方で行われたブレーデネ・コクサイデ・クラシックは横風分断が発生する混沌のレースに。集団スプリントでルーカ・モッツァート(イタリア、アルケアB&Bホテルズ)がディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー)を退け、勝利を挙げた。



シーズン初戦で勝利を挙げながらも、それ以降結果を残せていないディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー) photo:CorVos

ミラノ〜サンレモを翌日に控えた3月15日(金)、ベルギーのフランドル地方でブレーデネ・コクサイデ・クラシック(UCI1.Pro)が行われた。本大会は同地域で行われるフランドル・クラシックとは異なり、短い石畳が3箇所しか登場しないほぼ舗装路レースと言ってよいレイアウト。また急坂もレース中盤にしか設定されていないため、例年集団スプリントでの決着が続いている。

そのため出発地点のブレーデネにはディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー)やアルノー・ドゥリー(ベルギー、ロット・デスティニー)らピュアスプリンターが集結。201.2kmのシンプルなレイアウトのレースは、ベルギーとオランダのコンチネンタルチームに所属する2名がエスケープした。

吹き付ける強風によりエシュロン(横風分断)が発生したプロトン photo:CorVos

横風分断によって脚を使ったアルノー・ドゥリー(ベルギー、ロット・デスティニー) photo:CorVos

そこに下部チーム所属のマッテオ・ミラン(イタリア、リドル・トレック)ら4名が合流し、6名となった逃げグループは雨の降るフランドルを突き進む。一方のメイン集団は2分差を許さないタイトなコントロールを見せ、残り84kmで早くも吸収された。

濡れた路面のコーナーでフルーネウェーヘンを含む小規模な集団落車が起こり、その直後に横風による集団分断(エシュロン)が発生。混沌とする展開のなかニルス・ポリッツ(ドイツ、UAEチームエミレーツ)などが積極的なアタックを見せたものの、残り18km地点でバラバラだった集団が一つに戻った。

集団スプリントに向けて各チームが態勢を整えるなか、優勝候補の1人であるアーヴィッド・デクライン(オランダ、チューダー・プロサイクリング)はメカトラでバイク交換を強いられ脱落する。その後ポリッツらによる2度に渡るアタックは実らず、またロベ・ヘイス(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)の早駆けも決まらない。そのため勝負は大方の予想通り、集団スプリントに持ち込まれた。

フルーネウェーヘンを退け、勝利を掴んだルーカ・モッツァート(イタリア、アルケアB&Bホテルズ) photo:CorVos

ブレーデネ・コクサイデ・クラシック2024表彰台:2位フルーネウェーヘン、1位モッツァート、3位テイッセン photo:CorVos

最終コーナーでアモリ・カピオット(ベルギー、アルケアB&Bホテルズ)とリオネル・タミニオー(ベルギー、ロット・デスティニー)が落車し、その影響でドゥリーが出遅れるなかフルーネウェーヘンが先頭でスプリントを開始する。強い向かい風のなか踏み続けたフルーネウェーヘンだったが、その背後で脚を溜めていたルーカ・モッツァート(イタリア、アルケアB&Bホテルズ)がフィニッシュラインの手前で差し切った。

「ここベルギーで勝つことができて嬉しい。レースを通して風が強いなかチームメイトが僕のために走ってくれた。最後は適切なタイミングを待ち、勝利に足る力を出すことができた」と、プロ3勝目を飾ったモッツァートは喜んだ。
ブレーデネ・コクサイデ・クラシック2024結果
1位 ルーカ・モッツァート(イタリア、アルケアB&Bホテルズ) 4:46:31
2位 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー)
3位 ヘルベン・テイッセン(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ)
4位 シモーネ・コンソンニ(イタリア、リドル・トレック)
5位 アルノー・ドゥリー(ベルギー、ロット・デスティニー)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos