ウクライナ情勢を受け、UCIがロシアとベラルーシ籍チームへの制裁や、ウクライナ選手への救済など複数項目を発表した。ロシア籍プロチームのガスプロム・ルスヴェロの機材サプライヤーも契約解除を決定している。



ウクライナ情勢を受け、UCIが8つの決定事項を発表ウクライナ情勢を受け、UCIが8つの決定事項を発表 (c)UCI
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から5日経った3月1日に、UCI(国際自転車競技連合)がロシアとベラルーシ籍チームのUCIレース参加禁止を筆頭とする声明文を発表した。

この決定は同日にIOC(国際オリンピック委員会)がロシアとベラルーシ選手の国際大会除外を決めたことを受けたことによるものであり、プレスリリースの中には「ウクライナ情勢に非常に強い懸念を表すとともに、ロシアとベラルーシ両政府による"オリンピック休戦"の非尊重を最大限非難する。政治的に中立であり続ける我々UCIはロシアとベラルーシの選手に与えうる影響を残念に思うものの、オリンピックの価値観をしっかりと守る必要がある(抜粋翻訳)」と、強い言葉が並んでいる。

UCIはロシアとベラルーシ国籍のUCIチームの資格を剥奪するとともに、これを両国のナショナルチームや選抜チームにも波及させる。これによってUCIプロチーム登録のガスプロム・ルスヴェロをはじめ、ベラルーシのCCNファクトリーチームなど合計6のプロチーム/クラブチームの実質的なレース参加が不可能となった。

UAEツアーで活躍したガスプロム・ルスヴェロだったが、UCIレースでの活動が不可能にUAEツアーで活躍したガスプロム・ルスヴェロだったが、UCIレースでの活動が不可能に photo:CorVos
また、UCIはカレンダーから両国で実施する予定だった5つのレースイベントを撤回するほか、両国の国内選手権も同様に撤回。さらにUCIカレンダーの全イベントで両国の紋章や名前、頭字語、国旗、国歌を表示することを禁止。これに伴いロシアチャンピオンジャージ(ロード男子チャンピオンはガスプロムのアルチョム・ナウィチ)の着用も禁じられることとなった。

IOCはロシアとベラルーシの選手と役員を国際大会から除外するよう各スポーツ連盟に勧告したが、UCIは両国ライセンス所有者であっても他国登録チームに所属している場合にのみ、前述の通りロシアとベラルーシを連想させないことを条件に国際レースに参加することを認めている。個人登録が許可されている場合も同様であり、ロシアとベラルーシ登録チームの選手が、期間外で他国チームに登録できるよう動いていくという。

さらにウクライナの自転車界をサポートすべく、スイス・エーグルにあるWCC(UCIワールドサイクリングセンター)にウクライナ選手を迎えることも発表している。

UCIは発表の中で、参加が許可されている場合、レース主催者や観客、そして選手に両国の選手を尊重することも求めた。リリースの最後には「平和を求めてロシアとベラルーシの選手や関係者がとる勇気ある姿勢を歓迎する。紛争のあらゆる側面からの抑制と民間人の保護を呼びかけ、平和が急速に回復することを望んでいる」と加えている。

また、ガスプロム・ルスヴェロに対しては機材サプライヤーであるルックやコリマが契約終了を通達。チームのタイトルスポンサーであるガスプロムはロシア国営のエネルギー企業であり、サハリンでの原油液化天然ガス(LNG)プロジェクト「サハリン2」からはパートナーシップを組むイギリス石油大手シェルが撤退するなど大きな動きが生じている。

text:So Isobe

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