第2ステージを迎えたツール・ド・ロマンディは大会最初の山頂フィニッシュ。序盤から逃げた元シクロクロスU23世界王者のティボー・ネイス(ベルギー、リドル・トレック)がヴェンドラーメを退け、ワールドツアーで金星を掴んだ。



ニキアス・アルント(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)など強力なメインバー7名による逃げグループが形成された photo:CorVos

大会3日目、第2ステージを迎えたツール・ド・ロマンディ(UCIワールドツアー)は171kmの山頂フィニッシュ。スタートから100kmの平坦路を進み、一つ目の2級山岳から平坦路を挟んで2級山岳マレコット(距離7.6.km/平均7.3%)の頂上を目指す。大会最初の山頂フィニッシュは最大勾配14%だが、総合争いを大きく左右するほどの難易度と距離はない。

逃げ切りの可能性も十分考えられるレイアウトのこの日、逃げ集団を形成したのはニキアス・アルント(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)ら7名。その中には経験豊富なアンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)や2023年のU23シクロクロス世界王者ティボー・ネイス(ベルギー、リドル・トレック)など実力者が揃い、僅か20km地点で6分近いタイム差を積み上げた。

逃げに対し、最大5分半のリードを許したプロトン photo:CorVos

ネイスがハイペースに誘った逃げ集団は一つ目の2級山岳に入ると5名に減り、山岳ポイントが与えられる頂上をヴェンドラーメが先頭通過。そしてUCI(国際自転車競技連合)の本部があるエーグルを通り、残り30km地点を通過してグルパマFDJが先導するメイン集団は逃げに依然として2分半のリードを許した。

そのタイム差は残り15km地点で3分と一度拡がり、頂上にフィニッシュ地点の引かれた2級山岳マレコット(距離7.6.km/平均7.3%)に2分差で突入。登り口でシャビエル・アスパレン(スペイン、Q36.5プロサイクリング)が脚の痙攣によって遅れたため、逃げ集団は4名に絞られた。

最終山岳で先頭集団に残った4名
クサンドロ・ムーリッセ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
ティボー・ネイス(ベルギー、リドル・トレック)
ロジャー・アドリア(スペイン、ボーラ・ハンスグローエ)
アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)

最終山岳に入り、逃げ集団は4名に絞られた photo:Tour de Romandie

残り6km地点でエディ・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー)が牽引するプロトンからは、前日勝者で総合首位のドリアン・ゴドン(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル)が脱落する。残り3kmで50秒のリードを保つ先頭ではアドリアが遅れ、ムーリッセも引き離される。そのためヴェンドラーメとネイスの2名が、30秒差まで迫ったメイン集団から逃げ続けた。

逃げ切りを容認した感のあるメイン集団からは、ルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)とフロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)が飛び出し、ムーリッセが粘り強く復帰した先頭集団に合流する。そのままプラップはペースアップを敢行。それにはネイスとヴェンドラーメしか反応できず、勝負は3名に絞られた。

先頭のヴェンドラーメとネイスに追いついたルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) photo:CorVos

マッチスプリントを制したティボー・ネイス(ベルギー、リドル・トレック) photo:CorVos

残り1km地点を通過し、コーナーの連続する緩斜面で先に仕掛けたのはヴェンドラーメ。それにネイスが反応する一方で、ここまで脚を使ったプラップは遅れてしまう。そして序盤から逃げに乗っていた2名によるマッチスプリントを、ネイスが制した。

「脚の調子が良かったのに結果が出なかった(13位)昨日は落ち込んでいたんだ。だから強力なメンバーの逃げならば乗ろうと思っていた。極力脚を使わないよう努めたが、どんな展開になるかは想像すらできなかった。あんなに早く形成された逃げの乗るのは初めてだったからね。とにかく冷静にかつリスクを犯さず、適切なタイミングから全力を出そうと心がけていた」と、21歳のネイスはレースを振り返った。

昨年の冬からシクロクロスシーズンをフル参戦したため今大会が今季のロード初戦となったネイス。そのため僅か3戦目でワールドツアー初勝利を掴み、総合でも首位に立ったものの、「僕はタイムトライアルの力が十分ではないため、このリーダージャージを守り抜くことは難しい。だが今夜はよく眠れると思う」とコメントしている。

ワールドツアー初勝利と共に、総合でも首位に浮上したティボー・ネイス(ベルギー、リドル・トレック) photo:CorVos
ツール・ド・ロマンディ2024第2ステージ結果
1位 ティボー・ネイス(ベルギー、リドル・トレック) 4:02:44
2位 アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)
3位 ルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) +0:04
4位 フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) +0:14
5位 フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ) +0:16
6位 アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)
7位 アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ)
8位 ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)
9位 イラン・ファンウィルデル(ベルギー、スーダル・クイックステップ)
10位 レニー・マルティネス(フランス、グルパマFDJ)
個人総合成績
1位 ティボー・ネイス(ベルギー、リドル・トレック) 7:55:32
2位 アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) +0:04
3位 ルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) +0:22
4位 イラン・ファンウィルデル(ベルギー、スーダル・クイックステップ) +0:25
5位 エンリク・マス(スペイン、モビスター) +0:26
6位 レニー・マルティネス(フランス、グルパマFDJ) +0:27
7位 フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)
8位 アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) +0:28
9位 ヤニス・ヴォワザール(スイス、チューダー・プロサイクリング) +0:29
10位 アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ)
その他の特別賞
ポイント賞 アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)
山岳賞 ユーリ・ホルマン(ドイツ、アルペシン・ドゥクーニンク)
ヤングライダー賞 ティボー・ネイス(ベルギー、リドル・トレック)
チーム総合成績 ボーラ・ハンスグローエ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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