本日4月21日(日)、春のクラシック最終戦であるリエージュ〜バストーニュ〜リエージュが開催される。2連覇中のエヴェネプール不在の「最古参レース」にはポガチャルとファンデルプールが出場。女子レースと共にプレビューする。



コース中盤に登場するコート・ド・サンロシュ photo:CorVos

リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ2024 コースマップ image:A.S.O.
初開催が1892年まで遡り、「La Doyenne(ラ・ドワイエンヌ=最古参)」の愛称で親しまれるリエージュ〜バストーニュ〜リエージュ。ベルギー南部のワロン地域を舞台とする本大会は「モニュメント(5大クラシック)」の一つに数えられ、アムステルゴールドレースとラ・フレーシュ・ワロンヌを含むアルデンヌクラシック3連戦の最終レースだ。

コースはその名の通りリエージュから南のバストーニュを目指し、11箇所に及ぶ丘を越えながらリエージュに帰ってくる254.5km。アムステルとフレーシュが「丘のレース」ならば、リエージュは「山のレース」と言うように設定された登りのほとんどが距離2km以上と長く、そのため獲得標高差は4,200mを超える。

第110回大会の勝負所と目されるのは、バストーニュで折り返し、ベルギーのリエージュに戻ってくる直後の「コート・ド・ワンヌ(距離3.6km/平均5.1%)」から始まる8つの丘。なかでもエディ・メルクスの記念碑が建てられた最大勾配17%の名物坂「コート・ド・ストック(距離1km/平均12.5%)」は勾配が厳しく、また残り34kmのコート・ド・ラ・ルドゥット(距離2km/平均8.9%)と残り13.3kmのラ・ロッシュ・オ・フォーコン(1.3km地点/平均11%)ではレースが大きく動くと予想される。

リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ2024 コースプロフィール image:A.S.O.

昨年はコート・ド・ラ・ルドゥットで、レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が矢のような加速から独走勝利を飾った。ちなみにエヴェネプールは2年連続でルドゥットから仕掛けているため、今年も注目ポイントとなる。



2021年覇者ポガチャルに絶好調のファンデルプールが挑む

この春はストラーデビアンケを制したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

2連覇中のエヴェネプールは鎖骨と肩甲骨を骨折して不出場。そのため優勝候補の筆頭には、2021年大会の優勝者タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が挙げられる。

「レムコとの対決を楽しみしていたので残念だ」と語るポガチャルは昨年、序盤の落車によって左手首を骨折。しかし今年はジロ・デ・イタリア出場のためアルデンヌクラシックを回避して万全の状態で臨み、脇を固める選手たちもアムステル2位のマルク・ヒルシ(スイス)やジョアン・アルメイダ(ポルトガル)と強力だ。

その対抗となるのは2020年以来2度目の出場となるマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)。クライマーや総合系の選手に有利なレースだが、「勝つのは不可能ではない。春のクラシックでもう一発狙う」とコメント。既にロンド・ファン・フラーンデレンとパリ〜ルーベで優勝と”大成功の春”を送る世界王者は、4つ目のモニュメント制覇を果たせるか。

アムステル後は高地合宿でトレーニングを積んだマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos

アムステルを制したピドコック photo:CorVos
2年連続の出場となる新城幸也 photo:CorVos


他には23歳のデンマーク王者マティアス・スケルモース(リドル・トレック)を優勝候補に挙げる声も多く、またアムステルで初優勝したトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)も注目すべき存在。

更にEFエデュケーション・イージーポストはリチャル・カラパス(エクアドル)とベン・ヒーリー(アイルランド)を揃え、2年連続でメンバー入りした新城幸也のバーレーン・ヴィクトリアスは2016年覇者のワウト・プールス(オランダ)とペリョ・ビルバオ(スペイン)がエース。若手ではマキシム・ファンヒルス(ベルギー、ロット・デスティニー)やアントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)の動きにも注目したい。

女子レースはフレーシュ制したニエウィアドマが有力

リエージュ女子でも勝利を争うであろうフォレリングとニエウィアドマ、そしてロンゴボルギーニ photo:CorVos

同日開催の女子レースは10の丘が設定された152.9kmで争われる。優勝候補は2連覇狙うデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム)だが、走りに昨年ほどのキレがないためラ・フレーシュ・ワロンヌを制したカタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)が有力か。またエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック)もかつての強さを取り戻しているため、この3名がレースの中心となりそうだ。

その他にも世界王者ロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム)や38歳のベテランであるアシュリー・モールマン(南アフリカ、AGインシュランス・スーダル)、若手のシリン・ファンアンローイ(オランダ、リドル・トレック)も勝負に絡んでくるだろう。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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