フォーカスのフラッグシップロード、IZALCO MAXがフルモデルチェンジ。セミエアロなオールラウンドディスクロードの草分けとして高い完成度を誇った先代から5年。よりエアロで速い、ピュアレーサーとして磨きをかけた四代目となる。



フォーカス IZALCO MAX DISC (c)グローブライド

遡ること5年。各ブランドがディスクブレーキロードをリムブレーキモデルの派生モデルとしてではなく、採用を前提としたネイティブな一台を用意し始めた時代。

当時、ディスクロード特有とされた末端部の剛性感や重量感など、これまで慣れ親しんだリムブレーキバイクとは異なる乗り味を前に、ディスクロード不要論を唱えるサイクリストも多かった。その中でジャーマンブランドのフォーカスから登場したIZALCO MAXは、洗練された乗り味でその議論の趨勢を傾けるような存在感を放っていた。

あらゆるシーンで速さを増した新型IZALCO MAX (c)グローブライド

デビュー時のインプレッション記事では、「リムブレーキバイクの軽快感に最も近い一台」とも評され、毀誉褒貶著しかったディスクロードの方向性を指し示すメルクマールとして、IZALCO MAXは後続に大きな影響を与えた。エアロで軽量、快適性も確保した、一台で全てをこなすオールラウンドディスクロードというコンセプトの広がりは、各ブランドの最新カタログを見れば一目瞭然だ。

そんな名車の呼び声高いIZALCO MAXが5年ぶりにフルモデルチェンジを果たす。開発目標は「史上最速のロードバイクを造ること」。登りでも、平坦でも、下りでも。どんな状況でもスピードに妥協することのないサイクリストの為に、よりエアロで、高剛性で、軽量で、優れたハンドリングを持った一台として第4世代のIZALCO MAXが生み出された。

NACA断面を切り詰めたカムテール形状を採用する (c)グローブライド

実際にペダリングした状態に近いシミュレーションを実施している (c)グローブライド

エアロなオールラウンダーという意味においては、先代からキープコンセプトとなる新モデル。フレームデザインについても大枠のシルエットはあまり変わっているわけではない。一方で、全体的な雰囲気としては、エッジの立った先代に対して、今作は各チューブの角が落とされて滑らかになったような印象を受ける。

フォーカスがこの新型の開発に当たり、特に重要視したのが空力性能だ。NACA形状のチュービングをカットアウトしたカムテール形状をデザインし各チューブに採用。風洞実験の結果、前作に対し45km/hで走った際に6.6Wを低減し、45kmの距離を同じ出力で走った場合には1分47秒のタイム差を生み出す。

シートチューブを短くし、シートポストがよりしなりやすいデザインとされた (c)グローブライド
コックピットは別体式で、各メーカーのハンドルも使用可能 (c)グローブライド



ハンガー下がりが6mm減少し、より踏み出しの良い乗り味に (c)グローブライド
よりスリムになったシートステー (c)グローブライド



更に、ダウンチューブはボトルを前提としたデザインとされており、一般的なウォーターボトルを装着した場合、僅か0.3Wのロスしか発生しないという。自分でボトルを運ばねばならない一般サイクリストにとって、この差は大きな違いとなるだろう。

カムテールデザインのチューブは、エアロでありながら軽量で、剛性にも優れた形状。まさにIZALCO MAXの目標とするオールラウンド性に優れたチュービングであり、空力以外の多くの面においても前作から性能向上を果たしている。

ボトルケージがダウンチューブに隠れ、ボトルを差しても空気抵抗はほぼ変わらないデザインとされている (c)グローブライド

重量はフレームが865g、フォークは398g。前作比でフレームは56g軽く、フォークは14g重くなり、トータルで42gの軽量化を実現。一方でフレームのBB剛性は+15%、ヘッド剛性が+8%、フォークも横剛性が+16%、ブレーキ剛性は+26%と、全体的な剛性を増し、重量剛性比も大きく上昇。これにより反応性に優れつつ、コーナーやブレーキングの安定感も向上しているはずだ。

ジオメトリーも大きく手が加えられており、ヘッドアングルを立て、BBドロップを減少させることで、より俊敏なハンドリングと優れた加速性能に寄与する設計へと変更された。シートチューブアングルを立てることでオフセットシートポストを標準で装着し、更に効率的にシートポストのしなりを生み出す設計としている。

フォーカス IZALCO MAX (MATT CARBON/CARBON) (c)グローブライド

フォーカス IZALCO MAX (HERITAGE BLUE/STONE BLUE) (c)グローブライド

専用化が進むコックピット周りだが、フォーカスは汎用性や作業性も考慮した設計を採用している。一体型バーステムは用意されず、ステムのみ専用開発の"C.I.S. ACE"を展開。ハンドルはそれぞれの好みに合わせた市販モデルを組み合わせることが可能だ。

コラムスペーサーの調整についても、ブレーキラインをレバーやキャリパーから外す必要はなく、スペーサーのみを手軽に追加、取り外しすることが可能となっている。ポジションに大きく影響するコックピット周辺について、カスタマイズしやすい自由度が確保されているのは、シビアなライダーにとって非常に重要なポイントだろう。

サイズは47、50、52、54、56cmの5種類が国内展開予定。DURA-ACE、ULTEGRA、105のDI2コンポーネントに、マヴィック COSMIC SLもしくはフルクラム RACING 400DBを組み合わせた完成車が用意される。(105DI2完成車はフルクラムのみの展開)。

価格はDURA-ACE DI2×COSMIC SLが1,133,000円、DURA-ACE DI2×RACING 400DBが979,000円、ULTEGRA DI2×COSMIC SLが946,000円、ULTEGRA DI2×RACING 400DBが792,000円、105 DI2×RACING 400DBが715,000円(全て税込)。



フォーカス IZALCO MAX
カラー:MATT CARBON/CARBON、HERITAGE BLUE/STONE BLUE
サイズ:47, 50, 52, 54, 56cm
フレーム:MAX TECHNOLOGY CARBON, NACA SHAPE, 142x12mm, FM140mm
フォーク:MAX TECHNOLOGY CARBON, 110x12mm, FM160mm
税込価格:
DURA-ACE DI2×COSMIC S L:1,133,000円
DURA-ACE DI2×RACING 400DB:979,000円
ULTEGRA DI2×COSMIC SL:946,000円
ULTEGRA DI2×RACING 400DB:792,000円
105 DI2×RACING 400DB:715,000円

リンク

最新ニュース(全ジャンル)